伊坂幸太郎
文庫
角川書店(角川グループパブリッシング)
2007-06-23 00:00:00
345

グラスホッパー (角川文庫)

  • 伊坂幸太郎
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 345頁

レビュー
  • 危ない設定、軽妙な会話、破天荒な言動…
    フィクションとしてパーフェクトな人物がそろっています。
    そして、(個人の好き好きですが)みんな魅力的です。

    一番"こちら側"に近いのが主人公ですが、
    明らかにヤバい方へと進む様子はやっぱりフィクション。
    また、それぞれの殺し屋に垣間見える、人間くさいところに共感しつつも、
    彼らはやっぱり殺し屋。フィクションだなぁって思います。

    さらに、次々に変わる視点。
    読者に物語の全体を把握できちゃうので、ある程度終盤まできたら、
    カンの良い人なら人物の役割分担が見えるかも知れません。
    最初から最後まで、読者は物語を俯瞰する立場にいます。
    のほほんと「さて、次は何が起こるかな」って眺める感じで。

    とても印象深いラスト、物語のどんでん返しではなく、
    読者の足元をすくうオチにしているのが面白かったです。
    …私は何を見ていたんだろう?なんてね。
    リアリティのない設定だからこそ、このオチが痛快です。

    最後の一文をすぐに理解した方が楽しめるので、流し読みしないほうがいいですよ。

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